2022年04月16日(土)
3種類のHPVワクチン [診療]
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)には現在3種類ある。
定期接種で使用されているのは、サーバリックス(2価)とガーダシル(4価)。
サーバリックス(HPV16型・18型)2価
ガーダシル(HPV16型・18型・6型・11型)4価
どちらにも 子宮頸がんの発がん性の高いヒトパピローマウイルス(HPV)の15種類のうちの16型と18型の2種類が入っている。
ガーダシルはそれ以外に 性感染症のひとつである尖圭コンジローマの原因ウイルスであるHPV6型と11型も含まれている。
日本では16/18型の2つが子宮頸がんの原因の60-70%を占めるため、この2つの型に対してはサーバリックスとガーダシルで予防効果の差はないと言われている。
ただ、当院では一時サーバリックスが品薄であったりして、現在はガーダシルのみの予約にしている。
さらに新しくシルガード(9価)という9種類のHPVに対して効果があるワクチンが、2021年2月で国内でも接種できるようになった。
シルガード(HPV16型・18型・6型・11型・31型・33型・45型・52型・58型)9価
アジア人に特に感染が多く見られるHPV52/58型を含むため、原因HPVの90%をカバーするとのこと。
ただ、現在日本で接種することができるが、自費になり1回3万円近い。
世界では、9価ワクチンが標準なのだけど....。
でも、やっと、今年の4月にシルガードを定期にする案が厚労省で議論されはじめたが、いつ定期接種になるかわからない。
「9価ワクチンが公費になるまで、待った方がよいですか?」と質問されることも多い。
まだ小学校6年生、中学1年生ぐらいなら、すこし待ってもよいかと思うが、VPDの会では、「性交渉を経験する前に接種することがもっと大切で9価ワクチンが定期接種になるのを待つのではなく、ワクチンを早めに受けることを優先してください。」と書かれている。
さらに定期接種をしたあとに、シルガードを追加接種することについては日本産婦人科学会では、以下のように提言されている。
「CDCでは、すでにガーダシルやサーバリックスで3回接種している場合では、一番頻度の多いHPV16/18型に対する免疫は獲得されていて、シルガードを追加す効果が限定的で、また異なるワクチンを接種した場合の有効性と安全性のデータは限られているので推奨はされない。」
「3回接種が完了していない場合については、CDCでは、なるべく同一薬で接種を完了することが望ましいが、9価に切り替えて完了することも可能と記載されている。
ただ、日本では、異なる種類のワクチンを交互接種した場合の有効性、安全性については十分なデータがないため、原則は同じワクチンで3回の接種を完了することとされている。」
これも変わるかもしれないけど、とにかく
待っている間に定期接種の期間を逃してしまったということがないように。
Posted by さかざきひろみ at 17時42分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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