2010年10月16日(土)
「何としてでも
助けてやりたいんや」
そう主人が、しぼりだすような声で心の底から言ったのは、2週間前。
2日ほど、病院に泊まり込んで、やっと帰ってきた朝のことだった。
彼女は、小さいときに複雑心奇形の手術をして、現在22才の看護師さん。
幼い頃、病院で働く看護師さん達をみて、自分もなりたいと思ったらしい。
病気のことを考えると、看護師として働くのはとても大変な状態だったらしいが、必死に頑張ってやっと7月から病院勤務に。
本人は夢が叶って働くのが楽しくてしかたなかったよう。
白衣に腕をとおすことができて、本当に嬉しかったらしい。
そんなある日、勤務中にナースコールがなって、患者さんのところに急いで走っていく途中に倒れてしまった。
心室細動から心肺停止状態になり主人の病院に緊急搬送された。
いったん、少し持ち治し、主人もこれで大丈夫やと思った矢先にくも膜下出血を併発した。
そんな時、いったん自宅に帰った主人がつぶやいた言葉だ。
「すごいいい子やねん。看護師さんになって働くのが嬉しくてしかたなかったのに。
何としてでも助けてやりたいんや。」
「寝てる顔が、百合に似てるねん。」
「お父さん、ずっとそばにつきっきりで見てられへん。」
「彼氏も逢いにきてん。」
そう、辛そうに言う言葉を聞いて私まで胸がつまった。
そして、今日あさ4時に主人は病院から呼び出され、彼女は天国に旅立った。
2週間、一度も意識がもどることはなかったけれど、家族、友人、恋人皆に別れを告げていたのかもしれない。
何としてでも助けてやりたいという主人の切実な願いは叶わなかった。悲しいけど医療には限界がある。
私は患者さんの生死に直面することは、ほとんどないけれど、主人は毎日隣り合わせだ。
ストレスも私なんかと比べものにならないに違いない。
いつも自分のことより患者さんのことで必死になっている。
そんな主人のことを少しでも支えてあげたいとちょっと思った。
とりあえず、お庭の草むしり当番は変わってあげることにした。
Posted by さかざきひろみ at 20時01分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 3 )
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コメント
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主人の好きな言葉に「忘己利他」という最澄の言葉があります。「もうこりた」と読むのですが、もう懲りたではなく、自分のことより他人のためにつくすという意味らしいです。彼女も、小さいときに一生懸命に自分のために尽くしてくれた看護師さんをみて、看護師さんになりたいと思ったのでしょうね。自分の病気のことを忘れてナースコールが鳴った時、無理して走ってしまった彼女はまさに「忘己利他」の気持ちだったのでしょう。
私は、つい自分のことばかり考えてしまい、主人のことをみるたびに反省しています。
かわさき先生
先生がコメントをかく時間をみていつも驚いてしまいます。公演も無事終わったので、ちょっとはゆっくり寝てくださいね。先生は「「忘己利踊」ですね。
胸がつまるお話でした。
自分の事を改めて見つめる気持ちになり
皆の健康を願いました。
知らなかった世界のお話を聞かせてくれて
ありがとうございました。
先日は娘達がお世話になりありがとうございました!
注射後も2人とも元気でかわりありません^^
「雲の犬」を拝読して先生のご主人様のお仕事についてもいろいろと想像していました。そして今日のこの記事で「あ〜、やっぱりなぁ」と深々と感じました。先生と温泉や旅行に行ってもいつも仕事ばかりしておられるご主人様の事が少しわかった気がしました。
神様のようなお仕事を人間が行っているんですものね。人の生死と隣り合わせの仕事なんて私にはとても想像のつかない世界ですが本当に心から尊敬します。
ストレスははかり知れませんが先生のような優しい奥様がいて良かったです^^
亡くなった看護師さん、難しい病気を持っていたのによく夢をかなえて白衣を着られましたね!それができたのも子供の時の手術が成功したおかげでもありますよね。
きっとたくさんの人に勇気を与えてくれる素晴らしい看護師さんだったのでしょうね。
私も心からご冥福をお祈りいたします。